コンクリート技士試験の出題傾向と対策

コンクリート診断士試験は、筆記試験により行われます。試験方法は次のとおりです。
各問題の出題傾向と対策を確認していきましょう。

四肢択一式問題

4つの選択肢から1つの正解を選ぶ問題です。次のような問題が40問出題されます。
(2010年まで50問出題でしたが、以降は40問となっています。)
下の例のように、図表や写真を示して視覚的に考えさせる問題もたくさん出されています。
例年、複数の計算問題が出題されています。

例題
以下の(1)から(4)の図は、塩害による鉄筋コンクリート構造物の劣化過程を示した概念図である。このうち、外部環境からの塩分の供給はないが、練混ぜ時に腐食発生限界量以上 の塩分が混入した構造物の劣化過程を表しているものはどれか。

例題

出題範囲全体から幅広く出題されていますが、効率的な学習を進めるためには、全体を以下の5分野に大別するのがよいでしょう。

  • 変状
  • 劣化
  • 調査手法
  • 評価・判定
  • 補修・補強

直近5年間の出題割合は、次のようになっています。
補修・補強に着目すると、補修からの出題が多くなっています。

<直近5年間の出題傾向(2012〜2015年)>

以下では、分野ごとの出題傾向と対策を示していきます。

変状

過去5年の出題数は、次のようになっています。

  • この分野では、ひび割れに関する出題が多くなっています。
  • 出題項目が限定されていることもわかります。したがって、主要な変状をしっかり押さえることが大切です。
  • 各種変状が発生するメカニズムを理解する必要があります。

変状の出題傾向

劣化

過去5年の出題数は、次のようになっています。

  • 主要な劣化がすべて出題されていることがわかります。したがって、いずれの劣化についても、十分に学習しておくことが必要です。
  • 従来、重きが置かれていた塩害と中性化に加え、疲労、凍害、化学的侵食、アルカリシリカ反応の出題も増えてきました。
  • 出題項目が明確になっていますから、高得点が可能な分野であるといえますが、劣化メカニズムおよび劣化を促進する要因などについて理解しておくことが必要です。

劣化の出題傾向

調査手法

過去5年の出題数は、次のようになっています。

  • 多岐にわたる項目が出題されていることがわかります。
  • 同時に、その他の出題数が多いことにも注目してください。時々出題される項目が少なくないということです。
  • コンクリート構造物の調査・試験方法には、実に多くのものがあるため、これらの用途および適用上の留意点を理解することは、なかなか容易ではありません。
    しかし、この分野を克服するためには、そのような努力が欠かせません。
  • ひび割れ深さなどを計算させる出題もありますので、計算式を記憶しておく必要があります。

調査手法の出題傾向

評価・判定

過去5年の出題数は、次のようになっています。

  • 出題総数が40問となって以降、この分野からの出題数は減っています。
    近年は規格・基準類の変遷に関する出題が目立ちますが、火害に関してはこの分野から出題されますので、注意しておきましょう。
  • 中性化深さ、累積疲労損傷度を計算する問題も頻繁に出題されています。必ず解法をマスターしておきましょう。

評価・判定の出題傾向

補修・補強

過去5年の出題数は、次のようになっています。

  • この分野の出題傾向は、「調査手法」と同様です。つまり、たいへん広範な内容をカバーしなければならないということです。
  • 各種補修・補強工法の目的と原理を理解することが基本となりますが、各種変状・劣化に対する対策、補修材料に関する細かな知識なども必要となります。

補修・補強の出題傾向

記述式問題

コンクリート診断士試験の記述式問題には、問題A(必須)と問題B(2〜3問から1つを選択) とがあります。それぞれ問うところが異なっていますので、注意が必要です。
出題内容と対策をみていきましょう。

問題A

過去5年の出題内容は、次のようになっています。一言でいうならば、診断士としての適性(診断士としてふさわしいかどうか)を確認するための問題です。

  • 問題Aの出題内容
年度
内容
2012年
環境負荷を低減するための取り組みと、社会情勢の変化をふまえた技術開発
2013年
供用上の安全を脅かす不具合の原因と背景、維持管理における点検、評価・判定、対策のあり方と課題
2014年
長寿命化の考え方と方法、求められる技術力と心構え
2015年
技術者倫理が問われる例と対応、自己研鑽と人材育成のあり方
2016年
メンテナンス産業における社会的信頼と技術開発、求められる技術力と心構え

問題Aの出題傾向には、次のような特徴があります。

@
診断士の資質と役割について、たびたび出題されています。
A
構造物の診断や、維持管理を行う技術者が理解していなければならない基本的な内容が問われています。

上記1は、受験者に自分の考えを述べさせる問題です。
この種の問題では、倫理の面からの考察が欠かせません。構造物を診断するうえでの基本的な能力とともに、倫理に関する考察を加えてまとめるのがよいでしょう。診断士としての社会貢献のあり方についても考えておく必要があります。

社会的に関心の大きい問題が生じた年は、そのような時事的な問題と絡めて出題されることが考えられますので、大きなトピックに関心をもっておくことも必要です。

2は、主として知識を確認する問題です。

このような問題に対して、あやふやな知識を披露しても、満足な得点を得られないことは当然です。一連の診断業務について、構造物診断あるいは維持管理といった大所高所の観点から説明できるように訓練しておくとよいでしょう。


問題B

過去5年の出題内容は、次のようになっています。問題Bは受験者の診断能力を確認する問題です。その意味では、実地試験の代替といってもよいでしょう。

  • 問題Bの出題内容
年度
内容
2012年 想定されるひび割れの発生原因、必要な調査と対策 建築
変状原因の推定、必要な調査と対策 橋台
2013年 変状原因の推定、必要な調査、対策と維持管理計画 建築
再劣化原因の推定と必要な調査、対策 道路橋RC床版
火害程度の推定と必要な調査、対策 RCラーメン高架橋
2014年 変状原因の推定、必要な調査と対策 建築
変状原因の推定、必要な調査と対策 PC単純桁橋
2015年 劣化の状況が部位ごとに異なる理由、劣化の進行予測と維持管理計画 建築
変状原因と原因特定のための調査項目、性能評価と対策 橋脚
2016年 変状原因の推定、当面の対策と必要な調査、維持管理計画 建築
道路トンネルの点検・診断における留意点、変状原因と健全性診断のための調査、対策 山岳トンネル

問題Bの出題傾向には、次のような特徴があります。

@
写真や図表などで具体的な情報を複数提示する傾向がある。
A
多数の具体的な設問が用意されている傾向がある。

問題Bが実地試験の代替であることを考えれば、1のような出題形式となるのも十分に理解できることです。
したがって、この種の問題では、解答のためのヒントが図表などの中に示されていることが多く、これを見つけるのにひと苦労することが多いようです。


とくに、ひび割れや各種劣化の原因を推定させる問題では、上記の傾向が著しいものです。
原因推定の設問をクリアしてしまえば、あとは調査方法、補修方法などの知識を問う設問ですから、ずっと解答しやすくなると思われます。

とはいえ、維持管理計画に関する設問などでは、やはり大所高所の観点から問題を理解していることが必要となります。

上記2に対して、どのように対応するのか、ということも重要なことです。
解答用紙は、マス目が引いてあるだけのものですから、解答を漫然と書き流していく記述方法では、一部の設問に対する解答を書き漏らしてしまう可能性もあります。

では、どうするのがよいのかというと、見出しを立てて記述していくことです。そのためには、書き出す前に目次を作ってしまうことが必要です。
きちんと構成された答案を作るのがよいといえます。